今さら聞けない「中学受験超入門」
2017/08/15
目次
お父さんのための中学受験入門
TBS系で今年の1月から放送された「下克上受験」(阿部サダヲさん、深田恭子さんが出演してました。)をキッカケに、それまで中学受験には全く縁も興味もなかったのに、中学受験について考え始めた親御さんも多いのではないでしょうか?
このドラマは、桜井信一さんという方が書かれた「下克上受験」(産経新聞出版)という、実話を元にした本が原作となっています。
下剋上受験[文庫版] ―両親は中卒 それでも娘は最難関中学を目指した!
「両親も中卒 それでも娘は最難関中学を目指した!」
とある通り、桜井さんご夫妻はお二人とも中卒。
そして、本の中には、お嬢さんは進学塾にも通わず、桜井さんご自身が「親塾」と呼ぶ、親が自分の子供と同じように勉強し、問題を解き、二人三脚で受験勉強をするスタイルで難関校受験まで走り抜けた日々を、桜井新一さんご自身の言葉で綴ってあります。
実は、管理人自身もそうだったのですが、
地方の公立高校出身で首都圏に出て家庭を持った親(特にお父さん)は、ややもすると中学受験を小学校受験同様「お受験」と一括りで表現で考えがちです。
しかし、このドラマと原作本を通して中学受験に対しての認識を改めました。
そこで、今回は
今さら聞けない「中学受験超入門」
という内容で、中学受験について基本的な事を中心にお話します!
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「大学ぐらい出とかないと」は本当なのか?
「大学全入時代」と言われて久しいですが、
文部科学省発表による「平成27年度の学校基本調査」によれば、
高等学校卒業者の大学進学率は48.9%で過去最高
というデータが出ています。
※ちなみにこの数字、現役生のみの数字なので、既卒(浪人生や専門卒、社会人経験者)を含めると大学進学人口はさらに増えることになります。
一般企業に就職を目指す場合、
基本的に大卒が有利であることは正直認めざるを得ないのが現状
です。そうなると、
「我が子の将来は最早(もはや)『大卒かどうか』ではなく、『どこの大学を出ているか』にかかってくる。」
と親が考えるのも無理はない話でしょう。
「一芸に秀でれば食っていける」のか?
技術の進歩が目覚ましく、特に ITを中心とした分野では若手起業家が次々現れているのも現実ですし、スポーツ選手で日本から世界に飛び出し活躍できるような若者が増えているのも事実。芸能の分野も然り。
そこで、野球、サッカー、ダンス、新体操、と我が子に秘められた天与の才能と無限の可能性に期待して、
お稽古事・習い事に足繁く通わせ、中には過剰なまでに熱心な応援を続ける親御さん
もたくさんいらっしゃるようです。
とは言え、やはりこういった分野こそ才能と環境がものすごく重要なわけですし、大事な我が子の将来をかけるにはあまりにもギャンブル性が高いというか・・・。
やはり日本全体で見れば、
「中学・高校・大学と進学し、できることならいい会社(どんな会社がいい会社かはさておき)に入って幸せな人生を歩んで欲しい。」
というのが、我が子に対する親の思いとしてのメイン・ストリーム、でしょう。
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子どもの就職試験、結果左右するは誰なのか?
例えば、今現在小学生の子供たちが企業で働くのが10〜15年後だとすると、
その子達を企業の就職試験で審査するのは現時点で20代〜30代の人というケースが多いでしょう。
その人たちは現時点での教育体制の中で育ってきていますから、当然受験者の学歴についても自分たちを基準に考えるわけです。
となれば、
将来のために良い大学を目指して勉強する→中学受験を選択する
という行動を揶揄しているわけにもいかないでしょう。
まずはどんな中学校があるのかについて考えてみる
学校はその成り立ちによって「国立」「公立」「私立」に分かれます。
中学校に関して言えば、多くの公立中学校は試験なしで入れます。
一方、国立中学や私立中学、一部の公立中学(中高一貫校など)には試験(学力試験や適性検査)があります。
そのうち、中学受験で合格を目指す学校のほとんどは、
中学〜高校の6年間を通じて一貫した教育方針で教育を行う「中高一貫校」です。
メリットとしては、
「高校受験がないので、6 年間を通じていわゆる受験対策のための勉強をする必要がない」
というところでしょう。
つまり、
「自分の個性や創造性を発見できる」
というような利点があるわけです。
もともとは教育方針や学校のカラーを前面に押し出す私立に多かった中高一貫校ですが、最近では公立でも増えてきています。
公立の中高一貫校の特徴は、学力試験ではなく適性検査や面接による選抜が行われることです。
ただ、与えられた問題の正解を蓄積した知識を利用して答えるだけではなく、
②文章や資料の中から必要な情報を見つけ出し
③仮説を立てて検証し
③その結論を文章として記述する
このような能力が要求される傾向にあります。
大学入試改革と中学入試は一心同体!?
そうした、中高一貫校の増加の背景には、文科省の大学入試改革があります。
2016年の3月に文部科学省の有識者会議の最終報告なるものが公表されました。
内容は、現在実施されている大学入試センター試験に代わる「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」に関するものです。
文科省はこれまで大学入試の改革案を練っていたわけですが、その改革案の中心となるテストがふたつあります。
一つ目は、2019年度から始まる
「高等学校基礎学力テスト(仮称)」
そしてもう一つが今回公表になった、2020年度からの
「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」
・「大学入学希望者学力評価テスト」では、思考力・判断力・表現力を重視
中学入試にはどんな影響が?
今回、2020年の「大学入学希望者学力テスト」では先送りされた内容に、
複数の教科を組み合わせた「合科目型」や、
教科の枠組みにとらわれない「総合型」があります。
大学入試では先送りされたこれらを、実は既に入試に導入(出題)している中学校もあります。
中高一貫校を軸として、
入学後の授業に積極的にアクティブラーニングを取り入れる
(※アクティブラーニング=課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び)
という流れが確実に広がっているんですね。
今さらながら「偏差値」について考えてみる
さて、そうした中学受験(中学には限らないけれど)と切っても切り離せないのが、「偏差値」という数字。
でも、この数字なんとなくわかってるような気はしていても、実はどういうものなのかがはっきりわからないまま、わかったような顔をして日々過ごしているお父さん(ま、お父さんとは限らないけれど)が意外と多いのである。
そこで、ここでは「偏差値ってなに?」を解決しましょう。
偏差値は学力を測る物差しで、主に首都圏模試センターなどが実施する模擬試験(公開テスト)を受験することで知ることができます。
そして、
②受験者の得点分布によって計算する
とします。
おおよそ最高点の生徒が「偏差値75」、最低点の生徒が「偏差値30」ぐらいのになります。
テストというのは、問題の難易度によって平均点が変わります。
例えば、問題が易しければ平均点が高くなって90点が何人も出ますし、反対に問題が難しければ平均点が低くなって90点が一人二人しか出ないような状況にもなります。
つまり、同じ60点でも、テストの難易度によって自分の成績(全体の中でも位置)が違うというわけです。
その点、「偏差値」は教科の違いや問題の難易度に関係なく、学力を比べられるということになります。
受験に関して言えば、
ある中学校が「偏差値60」と示されていた場合、
「その年の同じ模擬試験で偏差値60だった生徒10人のうち8人がその中学校に合格した。」
という意味になります。
ただし、注意しなければいけないのは、
模擬試験によって平均点が違うので、それぞれで公表される偏差値も違う
ということ。
同じ中学校でも、塾によって偏差値が違うというのはこういう理由からだったんですね。
ちなみに、中学受験で一番参考にされるのが、
(株)四谷大塚が実施する「全国統一小学生テスト」
無料公開テストで、
全国で10万人以上の小学生が受験する
と言われています。
実は意外と知られていない絶対評価の落とし穴
今現在、公立小学校では「絶対評価」で成績付けが行われています。
2001年まではクラスの中で上位何%を「評価A」、次の何%を「評価B」というように成績付けする「相対評価」でした。
これ、どういう意味かというと、例えばA・B・Cの3段階で成績評価をつける場合、
・クラスの中でAをつけられる人数が(割合で)決まっているのが「相対評価」
です。
つまり、
今現在、公立の小学校ではクラス内での順位は関係なく成績を付けている
順位をつける必要がないので、
「授業でやったことが理解できていれば満点が取れるようなレベルで勉強が進んでいる」
と思ってよいでしょう。
ところがその先、中学受験、高校受験で難関校に合格したいとなった場合、
小学校の教科書内容を理解している程度では合格できません。
考えてみれば、義務教育である中学校に入学するのに、そのレベルを要求されること自体、どこか理不尽な感じがしなくもないのですが、それが現実です。
一部の中高一貫校入試で既に取り入れられている、
「複数の学習単元にまたがる活用型の問題(合科目や総合)を解く学力」は、
小学校の授業だけでは到底伸ばせません。
家庭か、もしくは塾や通信教育で補う必要があります。
もし、中学受験をしなかったとしても、その先の高校受験や大学入試でそういった学力が要求されることは、
今回公表になった文科省の大学入試改革で明らかなわけですから・・・。
「勉強は、人を、家族を、ここまで変える」
これは、「下克上受験」の原作本ある言葉です。
桜井信一さんの娘さん、つまりお父さんと「親塾」で二人三脚で難関中学受験に挑んだご本人の言葉にもありました。
「勉強は世界が変わります。思いっきり変わります。見たことのない世界になります。」
(桜井佳織さん自身が「下克上受験」(産経新聞出版)刊行イベントに寄せたメッセージより引用)
下剋上受験[文庫版] ―両親は中卒 それでも娘は最難関中学を目指した!
中学受験を目指すとき、その勉強はリベラルアーツである
昨今、巷では様々な学校(中学・高校・大学)で「リベラルアーツ」を売りにしています。
リベラルアーツというのは、ギリシャ・ローマ時代に
自由人(=奴隷ではない人、奴隷を所有する側の人)が学ぶ必要のある学問
をさしました。
具体的には、
・修辞学(読者の感動に訴えて説得の効果をあげるために言葉や文章の表現方法を研究するもの)
・論理学
・算術
・幾何学(図形や空間の性質について研究する数学の分野)
・天文学
・音楽
の七つです。
もともとは、
「人の精神を自由にする幅広い知識と基礎的学問、教養」
という意味のものなわけです。
こうした学問を横断的に学んで身につけることは、まさに「合科目・総合」だと思いませんか?
管理人はそう思うのです。
最終的に中学受験をするかしないか、受験に成功するか失敗するか、は別にして
小学校時代に精一杯勉強して得るものは、その先、その子の目に見える世界(人生)を変えるもの
と考えるようになりました。
今さら聞けない「中学受験超入門」
いかがでしたか?
ここまで長々と書いた記事をここまで読んでくださったあなた、
本当にありがとうございました。
そして「下克上受験」を書いた桜井信一さんにも感謝です。
下剋上受験[文庫版] ―両親は中卒 それでも娘は最難関中学を目指した!
それでは、au revoir !
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