確定申告、副業だといくらから申告の必要があるの?
経済の先行きが不確実で、給料は上がらないのに物の値段はじりじりと上がっていく…。
「いつリストラされるかもわからないし、そもそも今勤めている会社が果たしていつまで安泰なのか…。」
そんな状況の中で、収入が会社の給料だけというのはかなり不安だと感じている人は増えているはずです。
となれば、会社に勤めるかたわら、副業でプラスαの収入を得たいと思うのも当然のこと。
日本では、副業をすることは法的には自由ですが、「本業がおろそかになる」という考え方や、企業内の情報が洩れることへの懸念から、社内の規則で副業を禁じる会社がほとんどでした。
しかし、リーマンショックを始めとして、世界的に見ても経済情勢や政治情勢に混乱が続く今では、国内でも、100年以上の歴史を持つ大手製薬メーカーであるロート製薬クラスの企業でも、社員の副業を認める制度を導入しています。
(その他、日産、富士通、花王などでは以前から副業が認められています。)
インターネットを使って気軽に個人が副業を始められる時代、めでたく副業で収入を得られたとして、次に気になるのが、確定申告に関することではないでしょうか?
というわけで、今回は
「確定申告、副業だといくらから申告の必要があるの?」
について調べてみました!
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目次
確定申告を理解するには、まず所得から・・・
<そもそも、確定申告ってなに?>
確定申告とは、1年間の所得税の金額を確定するために、個人が税務署に行う税額の申告です。
ここでいう、所得税というのは…
個人が労働で得た所得(収入から控除や必要経費などを引いたもの)に対してかかる税金
のことです。
つまり、副業と言っても、その仕事(労働等)で得るものは税法上ではなんらかの所得であるということになります。
ひとくちに副業といっても、その種類は(税法上では)様々なんですね。
<所得にはどんな種類があるの?>
所得税法では所得は次のような10種類に分類されます。
- 給与所得
- 事業所得
- 雑所得
- 配当所得
- 利子所得
- 譲渡所得
- 不動産所得
- 退職所得
- 林所得
- 一時所得
あなたが取り組む副業によって所得の種類が違い、どの所得区分に分類されるかによって課税の計算方法が変わってきます。
ちなみに、サラリーマンやアルバイトで一般的に給料と呼ばれるのは、本来は基本給(=正規の勤務時間に対する報酬)のことで、
その基本給に残業代や各種手当、ボーナスなどを含めたものを給与(所得)と呼びます。
つまり、給与は給料よりもその範囲が広く考えられており、会社から受け取る報酬はすべて給与と呼ぶのが正しいのです。
<確定申告が必要な場合、必要でない場合>
次の場合には、原則、確定申告の必要がありません。
・会社が年末調整をしてくれている場合 ※2
※1…給与所得控除65万円+基礎控除38万円=103万円となり、全額控除になるので所得税を支払う必要がありません。
※2…日本では、雇用主(会社)が従業員の給与を支払う際に、従業員の所得税を天引きし、従業員に代わって国に支払っています。
(この仕組みを源泉徴収、支払っている税金を源泉所得税と呼んでいます。)
そして、1月~12月の1年間に支払った給料、および源泉所得税の過不足を年末に調整するのが年末調整です。
(年末調整を行う日までに、雇用主に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出する必要があります。)
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<副業をする場合、確定申告は必要なの?>
さて、いよいよ本題のうち、まずは
「副業をする場合に確定申告が必要かどうか?」
についてです。
まず、一般的な、本業が年末調整をしてくれる会社の社員である場合には、
給与所得や退職所得以外の所得が20万円以下であれば確定申告の必要はない
と言われています。
※これを確定申告の宥恕(ゆうじょ)規定と言います。
ここで注意しなければならないのは、副業で得る所得が、
「給与所得や退職所得以外かどうか?」
という点です。
なぜなら、年末調整をするのは、
「本業の会社1か所のみ」と決まっている
からです。
ですから、
本業も副業も給与所得である場合(例えば、会社員が週末にコンビニでバイトするなど)は、20万円以下であっても確定申告の対象となる
ということ。
=2箇所以上から給与所得を得る場合には、合算して確定申告する必要がある
ということになるんです。
じゃあ、副業としてイメージしやすい、ネットオークションやフリーマーケットで得た収入についてはどうなんでしょう?
<給与所得じゃない副業は?>
サラリーマンや主婦の副業として人気のネットオークション、フリマ、せどり、などの場合、一般的には金額的に「小遣い程度」という認識があるため、基本的にはほとんどが雑所得という区分に入ります。
もし、これが生計を立てられるレベルになると話は別で、その場合には事業所得という区分に入ることになるでしょう。
この場合の所得は、
総収入(すべての売り上げ)- 必要経費(原価、出展料、交通費、通信費、など)=所得
という計算式で出すのが基本的な考え方です。
先ほども書いたように、この、収入から必要経費を差し引いた所得が、20万円以下かどうかが重要な基準です。
もし、これが専業主婦なら、所得が19万円でも21万円でも確定申告の必要はありません。
なぜなら、38万円の基礎控除というものが所得税法の計算規定の中にあるからです。
基礎控除38万円の中におさまる金額(所得)には、納税額が発生しないのです。
しかし、例えばサラリーマンやパート勤務の主婦が得た所得に関しては、19万円なら申告不要ですが、21万円となったら要申告、となるわけです。
【宥恕】寛大な心で許すこと。見のがしてやること。大目に見ること。
・給与所得および退職所得のある人が給与所得・退職所得以外の所得の金額が20万円以下だった場合には確定申告の必要がない
・メインの勤務先で給与所得および退職所得のある人がメインの勤務先以外の給与所得・退職所得およびが給与所得・退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下だった場合には確定申告の必要がない
繰り返しになりますが、
「給与所得、退職所得以外の所得が20万円以下であれば、申告をしなくてもかまわない」
ということが基本のルールなんですね。
もうひとつ、申告の必要が無いケースがあります。
それは、
「生活に必要な物を売って得た所得については申告は不要」
というもの。
税法の中に、
「生活用動産の譲渡による所得は非課税」
という規定があります。
これに基づいて考えれば、
ネットオークションやフリマ等で個人が売買しているもののほとんどは、この生活用動産の譲渡と考えられる
つまり、非課税の対象で申告しなくても問題はないと解釈できるんです。
いかがだったでしょうか?
ここまで、
「確定申告、副業だといくらから申告の必要があるの?」
について調べてみました。
終身雇用という制度に守られて、いったん就職したら一つの会社で働くずっと働くというのが当たり前だった時代はとっくに終わっています。
そんな中で、「副収入を得る手段として」とか、「自分の新たな楽しみや可能性、人との出会いを求めて」とか、副業を始めるきっかけはいろんなものがあると思います。
人も、企業も、多様化っていうのが一つのキーワードになっている時代、副業でもうひとつの収入を得るという新しい働き方は、もしかしたら副業というより、複業というほうが近いのかも知れません。
このタイミングで、確定申告についてもしっかりとチェックしておくこと、大切かもしれませんよ!
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