ひな祭りといえばこの歌!でも、この歌の歌詞が実は・・・
「♪あかりをつけましょ ぼんぼりに~、お花をあげましょ 桃の花~」
毎年、ひな祭りになると幼稚園や小学校で必ずといっていいほど歌われるこの歌、デパートやスーパーでも流れる定番と言えば、やっぱりこれですよね?
タイトルは、
「うれしいひな祭り」
知ってました?
サトウハチロー作詞、河村光陽作曲による日本の童謡で、1936年(昭和11年)に発表されています。
日本に生まれ育った人なら、誰でも口ずさめるひな祭り定番の歌ですが、実はこの歌の歌詞にはいくつか重大な間違いがあったのです・・・
というわけで、今回は
「ひな祭りといえばこの歌!でも、この歌の歌詞が実は・・・」
についてのお話です!
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目次
生みの親、サトウハチロー
「うれしいひな祭り」の作詞者であるサトウハチロー(1903~1973)は、日本の詩人、童謡作詞家、作家です。
母親への想いをうたった抒情的な作風で知られ、
2万にもおよぶ詩のうち、おおよそ3千は母に関する詩の内容だと言われるほど。
代表的な童謡作品に、「ちいさい秋みつけた」「かわいいかくれんぼ」が、歌謡曲には「リンゴの唄」「長崎の鐘」「うちの女房にゃ髭がある」などがあります。
(その作風に反して、私生活はかなりの放蕩だったようで、その上奇行の数々が語られています。)
そんなサトウハチローが作詞した楽曲の中でも、この「うれしいひな祭り」は最もよく歌われるものの一つ。
サトウハチローが娘にひな人形のセットを買ってやった前後に作詞したとされており、日本では本当に広く親しまれてます。
ただ、その歌詞に複数の間違いがあり、サトウハチロー自身はその誤りを恥じて、後々まで気にしていたという話があるのです。
(一部には、この歌がきらいだったとまで言われているそうです。)
さて、ではいったいどんな間違いあったというのでしょうか・・・?
まずは、ひな祭りについて調べてみる
ひな祭り(雛祭り)は、女の子のすこやかな成長を祈る年中行事。
旧暦で桃の花が咲く季節(4月頃)にあたるため、“桃の節句”とも呼ばれます。
男雛と女雛を中心とした人形や桃の花を飾って、菱餅、雛あられを食べたり、白酒を飲んだりして楽しみます。
“桃の節句”自体は平安時代よりも前が起源とされており、
京の貴族階級の子女が、天皇御所を模した御殿や飾りつけで遊び、健康と厄除けを願ったことがはじまりという説が有力です。
それがやがて武家の社会でも行われるようになり、
江戸時代には庶民の人形遊びと節句が結びついて発展しました。
最初の内は、男女の別なく行われていたそうですが、
桃の節句(豪華な雛人形)は女の子、端午の節句は菖蒲(しょうぶ)の節句であることから、尚武(しょうぶ)にかけて男の子の節句
とわかれていくことに。
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ひな人形とは…?
ひな人形(雛人形)というのは、宮中の殿上人の装束(平安貴族の衣装)を模した人形のこと。
かつては、嫁入り道具のひとつとされていました。
(そのため、ひな人形は母方の実家から贈ることが一般的だった時代があったんです。)
内裏雛(だいりびな)または親王(男雛・女雛)をはじめ、三人官女や右大臣・左大臣と、豪華なものになると七段飾りのひな人形なども。
ちなみに、この内裏雛(だいりびな)というのは、男雛と女雛の一対を指す言葉で、
男雛をお内裏様、女雛をお雛様と呼ぶのは間違い
なんだそうです。
・・・ん?
「うれしいひな祭り」に隠れていた、間違いとは・・・
内裏雛(だいりびな)というのは、男雛と女雛の一対を指す言葉で、
男雛をお内裏様、女雛をお雛様と呼ぶのは間違い!?
ということは・・・
「♪お内裏様とお雛様~」
・・・
そうです、「うれしいひな祭り」の中で
そう分けて呼んで(歌って)いたのは、実は間違いだったんですねー。
さらに、
「♪すこし白酒召されたか~、赤いお顔の右大臣~」
いう歌詞が3番に出てくるんですが、実は・・・
「赤い顔をしているのは右大臣ではなく左大臣のほう」です。
つまり、正しくは、
赤い顔に白ヒゲのほうが“左大臣”、色白の若いほうが“右大臣”だったんですねー。
(もっとも、右大臣・左大臣まで登場しているひな人形を見ないことには、わからないことなんですけどね…。)
サトウハチローの抒情性あふれる歌詞
さらに、2番の歌詞には、
「♪お嫁にいらした姉さまに~ よく似た官女の白い顔~」
という歌詞が出てきます。
「お嫁にいらした姉さまって…誰よ?」
管理人以外にも、そう思ったことのある方はいるんじゃないでしょうか?
ただし、これは間違いではなく、
実はこの歌詞に、
嫁ぎ先が決まった矢先に18歳で結核で亡くなった、サトウハチローの姉への想いが描かれているんです。
娘にプレゼントしたひな人形を眺めていて、若くして亡くなった自分の姉の思い出がふとよぎったんでしょうか…。
ちょっぴり切ない気持ちになります。
さらに、作曲したのは河村光陽ですが、
この歌が短調(マイナー・キー)で書かれているのは、サトウハチローの姉へのレクイエム(死者のためのミサ曲)だろうという解釈もあるそうです。
え!メキシコでもひな祭り!?
最後にちょっとしたトリビア(くだらないこと、些細なこと)を。
日本では、ひな祭りの代表的な歌であるこの「うれしいひな祭り」、実はメキシコのラテン音楽の代表的なグループ、ロス・パンチョスが1960年代にカバーしているのです。
タイトルは…
「Pobres Huerfanitos(悲しきみなしご)」
当時、オリジナルが日本の童謡であることがクレジットされないままメキシコでヒットしたせいで、
アメリカ・メキシコ圏ではメキシコ歌曲と認識され定着してしまいました。
なので、
アメリカ・メキシコ圏の人たちが「うれしいひな祭り」のメロディーを聴くと、かなりの人たちが「昔メキシコでヒットした懐かしい歌」と答えるんだとか…。
というわけで、
「ひな祭りといえばこの歌!でも、この歌の歌詞が実は・・・」
調べてみると、その背景にはいろんなエピソードが隠れていました。
まさか、メキシコにまで…。
そんなこんなを知ると、聴き慣れていたはずのひな祭りの歌も、なんだか新鮮に聞こえてきますよね!
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