税務調査がやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!-その3-
2017/08/15
目次
個人事業の確定申告と税務調査、ついのその実態が明らかに!?
前々回、前回と書いてきた管理人への税務調査がついにその日を迎えました。
所轄の税務署に到着して、受付で目的と名前を告げると、応対した職員さんが内線で担当の個人課税部門に連絡を取っている様子。
しばらくして、上のフロアーに上がってドアの前にあるブザーを押して待つようにと伝えられました。
エレベーターで指定されたフロアーまで行き、言われた通りブザーを押して待っていると一人の男性が現れました。
「ちゅい原さんですね?お待ちしてました、私、お電話でお話しさせていただいた個人課税第7部門のスジ丘です。」
こうして、管理人の税務調査の幕は切って落とされました・・・。
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事業所得か?雑所得か?それが問題だ
〈税務署所員のヒエラルキー〉
税務調査官というのは名刺もくれないと聞いていたのですが、自己紹介とともに名刺をくれました。
その名刺を見ると、個人課税第7部門・事務官の肩書きがありました。
「税務調査官というんじゃないんだぁ。」と思いましたが、後になって調べてみると、
税務署でのヒエラルキーの一番トップは署長で、次が担当副所長。
その下が統括国税調査官、上席国税調査官、国税調査官。
肩書のない職員は“事務官”と呼ばれていて調査官の下。
だということがわかりました。
要は管理人の案件については、6段階の一番下の人が担当者ということがわかりました。
(ま、それだけうちが小物だってことですけど。)
調査開始後、しばらくは仕事の内容や、そこに至るまでの職歴みたいなことについての話が続きます。
向こうもメモを取りながら話してるんですけど、管理人個人に対する興味などサラサラなく、最終目的が課税ただ一つということははなからわかっていることなので、話が弾む訳などありません。
〈事業(所得)としての条件は、「社会的に見て」の一言に尽きる!?〉
管理人の場合、過去3年間、給与所得と複数の報酬を事業所得として合わせて申告していました。
なので、争点はこの報酬の部分が「事業所得かそれとも雑所得か?」という点でした。
半日かかった税務調査ですが、結論から言うとそれが
事業所得とは認められず、雑所得に当たる
と判断されるということに。
しかも、その判断は過去3年ぶんに適用されると言うのです。
つまり、複数の収入(報酬として受け取っているもの)がそれなりの金額ある年も、
事業所得ではなく雑所得として申告すべきものとして追徴課税が課される
ということになります。
それによって、3年ぶんさかのぼっての追徴課税、それに加えて社会保険と住民税も後から加算されるという恐ろしい結末。
「ちょっと質問してもよろしいですか?その場合、いくらぐらい払う羽目になるものなんですか?」
「ちょっとお待ち下さい。」
と言って姿を消し、しばらく戻ってきません。
調査の間も担当の事務官に質問する度に上司のところに相談に行き、けっこうな時間待たされました。
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要は、「事業所得ではなく雑所得」という事前の相談と結論ありきで調査が始まっていたのでしょうね。
それでもって、こちらからの質問や反論がある度に上司に報告・相談し、それに対して上司からの指示の通りの返答をしている・・・おそらくそんな感じなのでしょう。
となれば、目の前にいるヒエラルキーの最下層の方といくら問答を繰り返したところで状況は何も変わるまい。
そんなことを考えていたところに、件の事務官氏が戻ってきました。
「おおよそですが、この金額になります。」
・・・示された金額を見て、正直力が抜けました。
次に管理人の口から出た言葉は、
「これって、分割可能なんですか・・・?」
〈事業かどうかは本人の意思とは関係ない!?〉
事業所得として判断されるためには、
・独立して営まれている。(誰かに頼らず独り立ちしている)
・その事業活動に営利性、有償性、継続性、反復性がある。(ずっと続けるつもりで事業活動をしている)
・精神的、肉体的労力をその事業活動に費やした。(片手間ではない)
・その事業活動のために人を雇ったり設備投資を行なった。(アルバイトを雇ったり店舗用の機器を購入した)
・安定した収入を得る可能性がある。(食べていける見込みがある)
などの条件が必要となるのは事前に調べていましたが、
「事業所得としての本気は、本人の意思ではなく社会通念によって判断されるもの」
という考え方にびっくりしました。
要は、
自分が取り組んでいる活動が事業かどうかは、人様が決めるもので本人が決められるものではない
ということです。
ある人が取り組む仕事が事業かどうかの判断基準は、
「得ている所得の金額、そこに費やした時間、などなどの複数の要素を総合的かつ客観的に判断する」
ということなのですが、
事業所得として成立しているように見えても、事業者に安定した給与収入があったり、営利性が乏しかったりすると、事業所得として認められない
のが現実です。
認める認めないの線引きは、極論、法の判断によるものらしく、
こちらの質問や反論を覆すことを前提に用意した(黄色のマーカーを引いた)これまでの判例がいくつも用意されていました。
「聞き取りをするまでもなく追徴課税までの線路がすでに敷かれている。」とこちらに思われても仕方のない用意周到ぶり。
お上の立場にしてみれば、
給与所得者からの方が税金にしろ社会保険料にしろ取りっぱぐれがないわけで、
その点、個人事業主の方が節税対策というのが可能になるわけです。
なので、
「個人事業主に厳しいシステムになってるんじゃないだろうか!?」
と考えずにはいられない今回の税務調査。
あと、今でもわからないのが、今回のようなことがなければ自分の得ている収入を事業所得として申告するべきか雑所得として申告するべきかわからない(実際、ケースバイケースであることは間違いないので)のに、
後出しジャンケンのように税務調査→追徴課税というペナルティーみたいなものを課すスタイルをずっと続けている点です。
次回、追徴課税の手続きに行ったら、手のひらを返したようににこやかな笑顔で迎えられるんじゃいかという妄想にかられても無理はないような気がします。
「この世で避けて通れないものがある、それは死と税金」
ベンジャミン・フランクリン
今回のことを通して、自分の仕事、そしてお金、それから税金というものについてかなり考えさせられました。
まずは、とにかくわかりにくいんじゃないでしょうか、確定申告するにあたって税金に関するいろいろなことが。
「税金の計算とは、税理士の必要もなく、小学生でも計算できる程度にとどめておいた方が税制としてはより健全ではないか。」
塩野七生(小説家)
同感です、塩野さん。
「税金を国民から取るのは当然と考えるばかりか、増税することに痛みを感じない為政者は失格ですある。」
松下幸之助(パナソニック創業者)
今すぐ生き返っていただきたい、松下幸之助さん。
収入、所得、事業、必要経費・・・こうした一つ一つのことについて、もっとよく考えてお金と付き合っていかなきゃいけません。
というわけで、
「税務調査がやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!-その3-」
いかがでしたか?
もし、あなたが個人事業主だったら・・・税務調査はある日突然やってきます。
「備えあれば憂いなし」です、さぁ、今すぐ準備を。
もし、あなたがサラリーマン(給与所得者)だったら・・・次の言葉をあなたに送ります。
「日本のサラリーマンは自分で確定申告をしないので、自分でいくら税金を支払っているかわからない人が多い。
それでは本当に有効なお金の使い方はできません。」
藤井孝一(コンサルタント)
“よ〜く考えよぉー、お金は大事だよ〜♪”
それでは、 au revoir !!
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